XENON

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XENONは、人工知能と美術、工芸の融合可能性を探求することを通してデザインされた新しい衣服のプロトタイプである。人工知能によって生成されたキメラ柄のデータは、熟練の工芸職人によってジャカード・タペストリーとして織られ、さらに、アルゴリズムによって幾何学形状で構成されたデニムセットアップに仕立てられた。

本作は、3つのアルゴリズミックなプロセスによって制作された。第一に、本作を司る〈キメラ〉のイメージは、世界的に信仰の対象となったり、模倣子 (ミーム) として流通している動物の画像──約2500万枚を敵対的生成ネットワーク (GAN) で学習することで生成された。第二に、人工知能によって生成されたデータ群は、岡山と神戸の織物職人との協働によってジャカードテキスタイルへと織り込まれた。そして、三次元の身体データから幾何学状の型紙を自動的に生成可能なアルゴリズムを用いて、最終的に衣服として仕立てられた。

本作は、ジャカード織機と人工知能を同じ計算機の歴史上で配置し、職人の熟練技から、ジャカードマシンのプリミティブなバイナリオペレーション、AIによる生成データを往来しながら、爆発的情報量をメディアとしての織物へと保存する試みである。人知を超えた過剰さを引き受け、最適化を逸脱しながら、情報と生命、自然と人工が混ざりあう〈異形のアルゴリズミック・キメラ〉の表象を探求する。

人工知能を未来予測や安直な問題解決に用いるのではなく、「最適化」から逸脱するためのインスピレーション源としてみなし、人工的に操作された生命の挙動や表象が膨大なデータ量から立ち現れるような表現を目指した。それに加え、ジャカード職人による熟練技と人工知能によって生成された柄データ群を融合させることで、工芸と先端技術が融合した芸術表現を探求した。最も原初的なコンピュータの一つであるジャカード織機と人工知能を同じ計算機の歴史上に位置付けた上で、指先から機械、情報空間を多次元的なメディアやデータを操作可能とすることで、従来の美学とは異質の「新たな崇高」を示唆している。

  • Year: 2020
  • Credit:
  • プロジェクトリード:川崎和也(Synflux)
  • デザインリード:佐野虎太郎(Synflux)
  • ヴィジュアルプログラミング:湯本遼(Synflux)
  • デザインサポート:長見佳祐(HATRA)
  • テクニカルサポート:清水快
  • 映像:佐野虎太郎(Synflux)
  • 音楽:湯本遼(Synflux)
  • Image:
  • 佐野虎太郎(Synflux)
  • Advisor: Yosuke Takahashi, Takayo Iida
  • Collaborators: 株式会社フクル / 大城戸織布 / 高橋洋介(キュレーター)/ 飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長/GYRE GALLERYディレクター)
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